ミュンヘンで旨いもの

ドイツは英国と並んで旨いものが無い国です。
くちさがないイタリア人に言わせると、「奴らは本当に旨いものを知らないから」 なんて事を言います。
ドイツ人でも、イタリア料理の方が美味しいと思っている人は少なくないようです。

ドイツ料理で、これは、と言えるのはソーセージでしょうか。私はニュルンベルガーを炒めたものが好きです。
日本ではウィンナーが有名ですが、あれはウィーン(オーストリア)です。
ドイツには地域ごとにいろんなソーセージがあります。

ドイツには豚カツがあります。シュニッツェルと言います。これは、日本人には食べやすいものです。

私が苦手なのは、ザウワ・クラウトです。キャベツを酢漬けにしたようなものです。
少しなら問題ないですが、彼らは大量に食べるので、厭になってきます。

しかし、なんと言ってもドイツには世界に冠たるビールがあります。ミュンヘンはビールの街と言われています。

ところで、ドイツにはビアホールがそこら中にあります。そしてそれらは醸造元でもあります。
ドイツには、日本で言うキリンのような全国ブランドが存在しません。それぞれの地域にあるビールを飲むのです。
彼らは、「ビールに旅をさせると味が落ちる」ということを知っているからです。だからドイツにはビールの品評会がありません。

ドイツのビア・ホールには、「ビール:Bier」 という名前がメニューにありません。
ビールは何種類もあるのです。

日本で売っているのは、ほとんどがただの一種類、ラガーですが、ドイツには製法やら材料やらでいろいろあります。
全国ブランドでも日本のメーカーの中には、「うちのはピルスだ」と言ってる所もあるですが、私は絶対に認めません。
あれをピルスとして売れるのなら、芋焼酎をウイスキーだと偽っても良いことになります。

日本のビールに相当するのがドイツでは「Helles;ヘレス or ヘル」です。ただし、味は格段に違います。

しかし、私はなんと言っても「Pils;ピルス」が旨いと思います。これは醗酵のさせ方が難しいとのことで、チェコが原産(らしい)。
値段も、一番高いですし、ヘルがでかいジョッキで出てくるのに対し、ピルスはたいていはグラスです。
ピルスは、頼んでから出てくるのに少し時間がかかります。泡を立てるために、時間が肝心だと聞きました。

ピルス、ヘル、デュンケル(‘濃い’という意味らしい)、アルト(Alt:色が黒っぽいけど味は濃くない)、ヴァイツェン(Weizen:小麦のビール)、シュヴァルツ(ドイツ風の黒ビール)等の他に、ケルン地方ではケルシュというのもあります。
実はヴァイツェンだけでも三種類ぐらいあって、普通のヴァイツェン以外にも、クリスタル・ヴァイツェンとかヘーフェ・ヴァイツェン・デュンケルとかあります。(ホールによって違います。)

これ以外に、オクトーバーフェストの時だけのビールだの、クリスマスだけのビールだの「季節ビール」があります。

ミュンヘンにはレーベンブロイをはじめとする、日本でも有名なビアホール(醸造所)が沢山ありますが、私のイチオシはホッフブロイ(Hofbroei)。
少し外れにあるので、タクシーで行かれると良いでしょう。ここのピルスは最高でした。料理も良かったです。
ただ、どのブランドを飲んでも、ピルスはとりあえず旨い、って気がします。

ところで、「美味しんぼ」という漫画で、日本の「エビス・ビール」がドイツのビールに近いなんて、大嘘を書いていました。
これから察するに、原作の雁谷氏はドイツに行ったことがないのにドイツビールを語っている、とんでもない詐欺師であることが解ります。

あんなものを読んでグルメぶってる人が居たら、以後改めましょう。

私の知る限りで、日本で一番ドイツの味に近いのは、地ビールですが「銀河高原ビール」です。本物のピルスが味わえます。
鮮烈なアロマホップの香りと苦み、すっきりした味わいは確かに「ピルス」のそれです。

ドイツには白ワインもありますが、私はあんまりドイツワインが好きじゃない。(高いものを飲まないせいか?^^;)
敢えて言うなら、リースリングなら、まぁいいかな。
甘口のワインとか、フルーティーなものとかが多いので、女性には好まれるようです。

クリスマスのシーズンなら、赤ワインの‘熱燗’ に砂糖をたっぷり入れて飲む、他に類を見ないのもあります。
あまーい熱燗の赤ワイン、少しばかり、ぞっとするでしょ。でも、意外な味で、一度ぐらいは飲んでみる価値はあります。

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