Q & A

Q1. 花粉症で鼻づまりがあるのですが、昼間眠くて仕方ありません。


Q2. 眠気が強く発作的に寝てしまい困っています。大笑いしたり、強く怒ったりしたときにガクンと力が抜けることもあります


Q3. タバコを吸っていると肺がんになりやすいと聞きますが、本当ですか?


Q4. 最近かぜが長引き、咳、痰がでて階段で息切れがします。毎日1箱タバコを吸っています。



Q5. 寝るとき足がむずむずして眠れないのですが?




Q1. 花粉症で鼻づまりがあるのですが、昼間眠くて仕方ありません。

A. それは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の影響かもしれません。SASとは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間に5回以上出る病気です。無呼吸が頻発して、重症になると日中眠気が出ます。ひどいと突然の眠気で会議中や会話中に寝てしまったり、居眠り運転で追突などの交通事故を起こしてしまいます。SASの眠気は、無呼吸で睡眠が分断され、深い睡眠が得られないことによります。この病気は男性に多く肥満の方におきやすく、年齢とともに発症しやすくなります。また肥満がなくても下あごが小さいと発症しやすいです。女性では閉経後に発症しやすくなります。鼻づまりがあると口呼吸になり、無呼吸がさらに増えてしまいます。

 あなたの場合は、もともとある程度のSASがあり、そこに花粉症の鼻づまりの影響が加わり無呼吸が悪化し、昼間の眠気が出てきたのかもしれません。花粉症の治療も必要ですが、SASがあるかどうか専門医で検査を受けた方がよろしいでしょう。予報によりますと今年のいわきは、花粉の飛散量が昨年の5から7倍と多く、飛散期間も長いとされています。春一番も吹きましたので、花粉症の方には早めの対策をお勧めします。もともとSASがある方はSASを悪化させないためにも、特に注意が必要です。

 花粉症の方は、マスク、眼鏡などをつけて予防に心がけ、医療機関にて早めに抗アレルギー薬(眠気が出ることがあり要注意)や抗ロイコトリエン薬、点鼻薬、点眼薬を処方してもらい、シーズン中は治療を中断することなく継続しましょう。




Q2. 眠気が強く発作的に寝てしまい困っています。大笑いしたり、強く怒ったりしたときにガクンと力が抜けることもあります。

A. それは、ナルコレプシーという病気かもしれません。ナルコとはギリシャ語で眠気を、レプシーは発作を意味します。強い眠気が突然襲ってきて、会話中や運転中に突然寝てしまう病気です。また笑ったり、泣いたり、怒ったりと、強い情動的な刺激があると、ガクンと力が抜けて崩れ落ちるように転倒することもあります。その他に寝入りの金縛り(睡眠麻痺)が出たり、幻覚を見ることもあります(入眠時幻覚)。強い睡眠発作と、脱力発作があれば間違いないでしょう。

 この病気は、10代、20代前半に発症することが多く、居眠りのために学業がおろそかになったり、失職のために人生を台無しにすることもあります。現在では依存症がほとんどない良い治療薬があり、眠気の改善が期待できます。

 診断には睡眠日記やアクリグラムによる睡眠習慣のチェック、ポリソムノグラフィー(夜間の脳波、呼吸、心電図、筋電図の記録)や確定診断のためにMSLTという検査が必要になります。MSLTとは日中、暗い部屋で安静にして脳波計などを装着し、どのくらいの時間で入眠するかを測定するものです。当然ナルコレプシーの方はすぐに(8分以内に)寝てしまいます。また入眠時にREM睡眠が出現します。

 最近では、居眠り運転による重大事故も多く報道されております。規則正しく充分な睡眠時間をとっているのに眠気が強い方は、まず睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けて、SASがなければ次にナルコレプシーの検査も必要になるでしょう。




Q3. タバコを吸っていると肺がんになりやすいと聞きますが、本当ですか?


A. はい、喫煙者は肺がんになりやすいと言えます。非喫煙者を1.0とした場合、喫煙者の肺がんになるリスクは4.5倍にもなります。肺がん以外のがんリスクも高くなります。胃がんが1.4倍、膀胱がんと膵臓がんが1.6倍、食道がんが2.2倍、口腔、咽頭がんが3.0倍、肝臓がんが3.1倍、喉頭がんはなんと32.5倍にもなります。喫煙はがん以外の疾患のリスクも高めます。狭心症、心筋梗塞が1.7倍、くも膜下出血が1.8倍、胃潰瘍が1.9倍、COPD(肺気腫)が2.2倍となります。
このように喫煙は万病の元になります。なぜ喫煙でこのような害が起こるのかといいますと、煙の中に多数の有害物質が含まれているからです。約200種類の有害物質が含まれており、その中の約40種類が発がん物質です。含まれる量と毒性の強さからみて、ニコチン、タール、一酸化炭素が3大有害物質です。その他にアセトン(ペンキ除去剤)、ブタン(ライター燃料)、ヒ素(殺虫剤)、カドミウム(カーバッテリー)、トルエン(工業用溶剤)、ベンツピレン(発がん物質)、アンモニア、ニトロソアミン(強力発がん物質)などが含まれています。
健康のために禁煙が必要ですが、実際は失敗することが多いです。それはニコチンが強力な依存性をもつからです。喫煙者はニコチン依存症という病気なのです。病気ですので禁煙専門医に相談することをお勧めします。



Q4. 最近かぜが長引き、咳、痰がでて階段で息切れがします。毎日1箱タバコを吸っています。

 

A. あなたはCOPD(シーオーピーディー)という病気かもしれません。COPDとは慢性閉塞性肺疾患のことです。喫煙により肺の組織が破壊され、気道が狭くなり、痰の分泌が増えて、咳、痰、息切れがでる病気です。これらの症状が慢性に続くのですが、かぜが長引いているとか、老化現象だろうと軽く考えて放置してしまう方が多いです。しかしCOPDを禁煙しないで放置しますと、肺の機能がどんどん低下して、息切れが進行して、着替えや食事さえ困難になり、常に酸素吸入が必要になってしまいます。日本人数万人の喫煙者をフォローした研究によりますと、喫煙者では喫煙しない人たちに比べて、死亡率が2倍以上、平均年齢が約10年も短いことがわかりました。COPDは日本人の死因の9番目になっています。最も大事な治療法は禁煙です。早い年齢で禁煙すればするほど、正常の肺機能に近づき症状の進行を止めることが可能になり、寿命も正常に近づきます。息切れが悪化してから禁煙しても、寿命は少し延びますが息切れは良くならず、息苦しい余生をすごすことになります。COPDはスパイロという肺活量の検査をすれば、肺年齢がわかり診断がつきます。数回息を吹けば終わりますので、心当たりの方はスパイロを受けることをお勧めします。最近ではCOPDの症状を改善する吸入薬もありますが、禁煙がもっとも重要であることには変わりありません。



Q5. 寝るとき足がむずむずして眠れないのですが?

 

A. それはむずむず脚症候群によるものかもしれません。正式名はレストレスレッグス症候群といいます。 この病気は「脚がむずむずする」、「どうしても脚を動かしたくなる」、「脚がだるい」、「足の裏がほてる」などの症状が出て、なかなか寝付けなくなり、睡眠不足となり、日中眠くなる病気です。とくに夜静かに横になると症状が出やすくなり、さすったり、歩いたり脚を動かすと楽になります。原因不明の特発性のものと、鉄欠乏性貧血、腎不全、パーキンソン病、薬剤性などによる二次性のものがあります。治療法は鉄欠乏があるときは鉄剤の投与を、薬剤性の場合は薬物の中止を行います。特発性の場合は、むずむず脚に効く薬を服薬しますが、注意点としてこの治療薬で突発性の眠気が出る場合がありますので、服薬期間中は車の運転等、危険を伴う作業はできなくなります。服薬が長期になるとだんだん薬が効かなくなることがあります。この現象を防ぎ長きにわたって薬が効くようにするためには、症状が軽くなったら治療薬を減量したり、可能なら薬を一時中止します。お薬の服薬にて症状が良くなり受診しなくなる方もおりますので、あきらめずにご相談下さい。


       


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