コラム(本紙 「小窓」より)

食品ロスの削減につながる包装

 日本では、自給率がカロリーベースで39%、したがって食料の大半を輸入に依存している。しかし廃棄している食材=「食品ロス」が相変わらず減らない。農林水産省の平成26年度の集計では家庭用の食品廃棄物(可食分)は282万トン、ホテルや居酒屋などの外食産業を含んだ事業用食品廃棄物は339万トンで計621万トン。重量換算で、日本の米の生産量の約8割の食品が廃棄されているということになる。
 この4月、同省では、食品ロスの削減につながる容器包装の高機能化に関する事例を集め、ホームページに公表した。
 食品ロスの削減に貢献する容器包装のポイントは

@鮮度保持
A賞味期限延長
B輸送時の損傷軽減
C小分け・小包装
D内容物の分離性向上

これらの包装手法は食品の廃棄ロスに大きく貢献するという。

 紹介されている企業・商品は、ヤマサ醤油梶Aキッコーマン食品鰍フ醤油、味の素鰍フ調味料、住友ベークライト鰍フしいたけなどの鮮度保持フィルム、潟xルグリーンワイズの鮮度保持袋、日本製紙鰍フ水系塗工剤を用いた包装用紙、キユーピー鰍フマヨネーズ容器、越後製菓鰍フもちの個包装等がある。最も多い事例は賞味期限延長で、20の事例が紹介されている。このうち、越後製菓の菓子、米、もち、せんべいなどの事例が5つを占めている。

 関東のスーパーマーケットでも、「形は悪いが、味は同じ」というPOPのついた野菜を見かけるようになった。しかし、農家では形の悪い野菜はほとんど利益を生んでいないため、流通、卸などとともにそれらの価値を共有するための施策も実施していく必要があるようだ。

 少子高齢化している現在の日本は、明らかに食の総需要量は減少している。しかし食品を扱うコンビニエンスストアやスーパーマーケットは相変わらず競争を続け、都内では高級レストランはじめ、様々なジャンルの飲食店が居並ぶ商業施設が次々建設されている。企業の宴会があれば、客達は当然のように酒や食事を残して帰る。もったいないので持ち帰ろうとすると、「衛生上の問題がある」と阻止される。

 「食品ロス」を減らすためには、企業の包装施策はもとより、流通や外食産業を取り込んだ「日本の食材価値」の再認識が必要かもしれない。



(2017/5/1 IKKO YONEI@nihonbashi)



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