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出発の当日はとても忙しい。荷造りに夜中の1時ごろまでかかってしまった。結局、スーツケースとリュックサック(昨日千円で買った)を持っていくことにした。「地球の歩き方」のインド版では、リュックサックは両手が使えるため最も便利と書いてあったが、友人のA君が「インド人はおしゃれですよ。国際会議はスーツでないと恥をかきますよ。」と助言してくれたのと、(持って逃げられる程度の)小型のスーツケースがあったのでこれも持って行くことにした。今回、特別に持っていく武器は、1.電気式湯沸しポット、2.トイレットペーパー、3.便座シート、4.ガムテープ、5.洗濯セット、6.携帯用シェーバー、7.チェーン付き南京錠である。インドの水はよく当たるとの情報から1を購入した。また、インドではトイレットペーパを用いる水洗トイレはまれで、右手で水の入ったコップを持ち、水をかけながら左手で直接洗うのが普通のやり方らしい。そこで念のため2を用意した。後は、海外旅行グッズで目に付いたものである。
さて、広島空港発11時の飛行機に乗るので、9時には空港に着きたい。そこで、福山駅を7時35分に発車する空港行きバスに乗ることにした。そのためには、朝6時には起きなければならない。まだ、空が暗いぞ!。目覚まし代わりにテレビを見ていると、テロップが入った。「山陽自動車道の尾道、三原間で大型車の衝突事故発生。車が道路を封鎖しており、除去には7時過ぎまでかかる模様。」このときは、われわれは11時までに着けばいいから関係ないと考えていた。スーツケースを自宅から2kmほど引きずりながら、福山駅のバス停に到着した。時刻通りにバスが発車すると、すぐに無線で「山陽自動車道を途中で降りて、下道を使え。」とバスの運転手に連絡が入る。にわかにバスの乗客がざわめく。乗客A「9時までに空港に着きますか」。運転手「何もなければ8時40分頃には着くけど、下道を使うから30分程度遅れるかもしれない」。それを聞いていた乗客BとCは携帯電話を出して、自宅に電話をかけ始めた。「もしかしたら、飛行機に乗り遅れるかも知れない」。運転手に若干あせりがあったのか、もともとそうなのか知らないが、えらく乱暴な運転であった。走り出してすぐ、私のスーツケースが荷物置き場を転がっている。まもなくして、福山東インターチェンジから高速道路に入った。なんか、ところどころに雪がうっすらと積もっているのが見えた。10分位して、バス乗り場から、今回の旅行に同行する、K教授と院生のT君がバスに乗り込んできた。事故の情報が高速道路の掲示板にまったく表示されていない。いったいどうなったのだろうか思っていると、まもなく渋滞が始まった。しかし、この渋滞は事故のため車線が1車線に制限されていることが原因だった。10分ほどで、事故現場を抜けると流れが良くなった。事故は雪のため車がスリップしたのが原因らしい。高速道路を降り、(ここで事故車が放置してあった)いよいよ広島空港が近づいてきた。広島空港は山の頂にあるため、登りが続いた。空港の滑走路がちらりと見えたあたりで大渋滞が発生した。まったくバスが動かなくなる。原因は、道路が雪のため凍りつき、スリップして動かない車が続出したためである。既に8時50分を回っていた。運転手が言うには、「ここからだと、空港まで歩いて20分くらいで行ける」。慌てて数名の乗客がバスを降りて歩き始める。10分ぐらいして、われわれもバスを降りて歩くことにした。ゴロゴロ(スーツケースを引きずる音である。ちなみにスーツケースを持っていくのは3人のうちでは私だけである)。途中、凍った坂を登れないため、路上でチェーンをかけている車を見かける。なぜかFR車なのに前輪にチェーンを巻いている車もいる。問題の凍った坂を歩いて登る。この程度の雪で使用不可になるのに、除雪装置も空港職員もいない。坂を登りきったあたりに、反対車線から来たバンが1台歩道につっこんでいた。と思ったら、反対車線から猛スピードで軽自動車が坂に突っ込んでくる。われわれの目の前で急ブレーキをかけ始め、スリップし始めた。「ああ、お姉さん危ない」と見ているとラッキーなことに歩道まで50cmを残して止まった。無事を見届けた後、また歩き始めた。するとまもなくトンネルが現れる。トンネル内をゴロゴロと音を立てながら歩いていくと、猛スピードで車がやってきた。どうも、反対車線は路面が凍結していないらしい。我々が危険の合図を送ったが、理解してもらえなかったらしく、減速せずにトンネルを走り抜けていった。もう少しでトンネルを抜けようとした時、懐かしきバスが我々を追い抜いていく。バスを追っかけて再び乗っけてもらう。途中、乗客を拾いつつバスは広島空港に到着した。(どうしたら歩いて20分で着ける距離なのだろうか!!)既に9時は軽く過ぎていた。あの急いでいた乗客たちはどうなったのだろうかと一瞬思った。
さて、広島空港に着いてすぐにシンガポール航空のカウンタへ行き、チェックインを行う。なんと係員が6人(女性4人、男性2人)も出迎えてくれた。さすが人気ナンバーワンの航空会社だと勝手に勘違いする。(後でカウンタを見たら、係員が全日空のところに移動していた。どうも提携(スター・アライアンス)しているらしい。搭乗まで暇なので、空港の売店を探索した。トラベラー専門店を覗くと、昨日私が購入した、電気式湯沸しポット、電池シェーバー、洗濯セット、南京錠等が売っている。しかも、1割ほど安い。うーん悔しい。しかも、これから向かうシンガポール名物の「マーライオンチョコレート」まで置いてあるではないか。ここで、万能コネクタ(2700円)を購入した。ほぼ全世界のコンセントに対応可能な新製品と書いてあった(注、電圧を変換してくれるものではない)。その後、10時まで自由時間にした。T君は薬局で店員に捕まっていた。空港内には偽者グッズが展示されていた。ここで、始めてルイビトンのマークを覚えた(そうか。LとVが組み合わさっているんだ)。暇なので皆で搭乗する飛行機を見ていると、自転車に乗ったおっさんが飛行機のほうへ近づいていく。のどかな空港である。10時半になり、ボーディングが始まった。が、エコノミークラスは後回しである。機内に乗り込み、さあ、長いたびの始まりだ。(話も長―――い)。以下、12月22日(機上編)に続く。
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