(What’s Hermit Dolphin?)


イルカはクジラと同じ「クジラ目」に属する哺乳類で、通常は数頭から数十頭のポッドと呼ばれる群れを形成しながら暮らしている。ところが、極稀に、そのポッドから離れて一頭だけで生活する野生のイルカが現れることがある。それがハーミット・ドルフィン(離れイルカ)と呼ばれているイルカたちだ。
遠く、ギリシャ時代から、地中海を中心に数多く語り継がれている、いわゆる「イルカに乗った少年」の話は、皆ハーミット・ドルフィンだと言われている。今世紀に入ってからも、世界中で数十頭が確認されている。
1950年代のニュージーランドでは、オポノニという村の近海に現れたオポが、その人懐っこさで、各国のマスコミを賑わし、押し寄せた観光客から彼を守る法律まで制定された。だが、わずか1年後には謎の死を遂げている。
また、1970年代、80年代には、スコットランドのドナルド、パーシーが、イギリスのイルカ研究家ホラス・ドブス博士によって世界に紹介された。しかし、彼らはあまり多くの人々との交流を持たず、現れる場所を転々と移動しながら、6〜7年後にはそれぞれ姿を消している。その他、スペインのニーナ、アメリカのドーリーなどがおり、近年最も有名な例がタークス&カイコス諸島のJOJO,日本でも、95年に伊豆諸島の利島村近海に現れたココなどがいる。

ハーミット・ドルフィンは共通して、人間との交流を大変好むとされている。それどころか、まるで神話のように、様々な事故から人間を救ったというエピソードがある。
1956年、ギリシャへ向かう途中の船から転落した婦人を、その身体を支えながら20〜30kmも離れた陸地まで運んだり、第二次世界大戦中、6人の飛行士が墜落し、ゴムボートで漂流していた際、ボートごと押して岸まで連れて行ったり、1966年にはスエズ湾で海水浴をしていた人をサメから救ったり、その例にいとまが無い。
しかし、なぜ彼ら野生動物であるイルカが、唯一の天敵である人間と交流しようとしているのか、今もって謎が多い。あくまでも、人間が交流を強いたのではなく、イルカの自由意志で人間に近づいて来る点が、ハーミット・ドルフィンの重要なポイントである。

近年、人気を集めているイルカも、その生態となるとほとんど何もわかっていないというのが実情なのだ。捕獲され水族館や生簀で飼育されているイルカのように、ストレスを抱え込んだ状態での観察・調査には、どうしても限界がある。その点からも、野生状態のまま人間との接点を持つハーミット・ドルフィンの果たす役割は大きいと言えるだろう。特にJOJOの場合は、これまでのハーミット・ドルフィンのように、人間だけと交流し、交流期間も決して長くはないという常識を既に大きく覆しており、群れのイルカとの交流も頻繁に目撃され、“ガールフレンド”のソクラテスとの間に子供が生まれたとの情報もある。そして、人間との交流期間は既に20年を超えている。

ビデオ『ハーミット・ドルフィン JOJO海からのメッセージ』OEJ刊、
ミニブックより

参考文献:藤原英司著『海からの使者イルカ』朝日文庫刊

     ピコ      home  mail 


当サイトの内容・写真の無断転載、無断使用は固くお断りいたします。
Copyright © 2003 CIRCLET All rights reserved
ハーミット・ドルフィン・・・?
ハーミットドルフィン