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インタビュー

 実はtadashiさんへのインタビューは2ヶ月以上も前に行われました。当初、90分ほどのインタビューを予定していましたが、気がつけば3時間ほどじっくりお話をお伺いすることが出来ました。あたたかいエネルギーと静寂を感じながら、非常にシンプルな生活を営み、純粋に音楽を追究するtadashiさんに少なからず衝撃を受けました。
 インタビュー内容も充分すぎるほどで、お聞きしたいことの多くが聞けて満足のいくものでした。しかし、言葉で伝えるよりもやはりこの音を聞いていただいた方が、伝わるのではないかと思い、極力シンプルにしてお伝えしていきたいと思います。以下は、tadashiさんの言葉で特に印象に残ったお話です。

インタビュアー:宝正 隆志



待つということ

「わたしは学生時代に心象風景の写真を製作していました。それである時その写真から音楽が聞こえてきたのです。なんとも美しい音楽でした。もしかしたら私のやりたいのは音楽かもしれないと思い、それから私の作曲活動が始まったのです。」
「私の場合は音楽を作るというより、そのギフトを待っていると言った方が、分かり易いかも知れません。自分を空っぽにしてそこに音楽が来るのを待っているのです。私はその種が花へと咲くようにサポートするだけなのです。ですから『待つ』ということが大きな意味を持っています。ただ待つのです。ただ待っていると、それは起こってきます。私のすることと言えば音楽が通り易くなるために、内側に溜まったゴミを掃除をすることです。ゴミと言うのは、いわゆるマインドのことなのですが、思考やいろいろな想いなどを空っぽにしていると、そこは歓びに溢れているのです。妙なる歓びを感じていると、その響きが音楽となってやって来ます。自分自身と向き合い、歓びとともに音楽が生まれてくることは、途方もないギフトです。」
「これは『エターナル・ダンス』のときなのですが、最後の曲が完成したときに落ち込見ました。それはもうこの曲に自分が参加できなくなったからなのです。たった一つの音も入っていきませんでした。曲の方から出来たよと言われたのです。まるで自分の子供が独り立ちしてゆくような感じでした。もうこの音楽は私の手を離れて、次のステップに行くということを感じていたのです。」

日常の中のリズムと響き

「私は自分のCDを自分で営業しているのですが、その時『この音楽は本当に素晴らしいから、ぜひ聴いてみてください』と言うことに、全く抵抗がないのです。自分が作ったという意識がないからです。もちろん私が作ったのですが、私の体を通っただけという感覚なのです。」
「日常生活というのは大切なポイントだと思います。日常的な気付きが、私を空っぽにしてくれるからです。その空になった器に響きが起こります。それは歓びのエネルギーです。そこから例えば音楽であったり、詩であったり、人と触れ合うこととかに流れていきます。」
「ですから、『こんなに幸せで良いのかな』と思うこともあります。何をやっているというわけでもない。陽と共に起きて、仕事して、眠くなったら寝るというような、ごくごくシンプルな生活の繰り返しです。起こることに自分を明け渡していると、自然にそのリズムが出来てきます。ですから作曲に乗っているときは、もう夜明け前から起きて仕事に入ります。でもいつも気を付けているのですが、食べることも忘れて音楽と一つになってしまうのです。それでアンビエント・ファンタジー・シリーズの時は四部作という、すごいエネルギーを注いだので、出来上がったときには憔悴しきっていました。完成してから思うのですが、命がけで作曲するのはよそうと。(笑)」
「今は小さな畑が加わったので、そのリズムも入ってきました。私の作曲も畑仕事と共通する部分があります。土作りをする、種を播く、生えてくる雑草を刈る、育てる、そして収穫をする。私はこのトマトを作ったと言えません。私はこのトマトのお手伝いをしたに過ぎないからです。」
「音楽が生まれるところに立ち会って、その素晴らしさに、その歓びに感動して、涙を流すこともあります。一つ一つの音が重なり合って一つのハーモニーになってゆく。それを聴いていると、驚きとともに感謝が起こります。」
「私はこの歓びの中から生まれてくる音楽を、ぜひ聴いて欲しいと思っています。みなさんと分かち合いたいと思っています。それは元もと贈り物なのですから。」


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