イルカやクジラって解らない事や、不思議な事ばかり!

なぜ?なに?水族館Q&A

このページでは主に水族館のクジラ・イルカを中心にした素朴な疑問など、飼育係さん・トレーナーさんらの話を元にQ&A方式で紹介しています。(一部個人的考察による)

Q「水族館では同じ水槽に何種類も居て、ケンカしませんか?」
A
「します」機嫌が悪かったり、頭にくれば追いかけ回したりド突いたりしますが酷いケガをするようなケンカはしません。数年前の鴨川シーワールドでは「シャチ/バンドウイルカ/カマイルカ」等が同じ水槽で暮らしていた実例もあります。
近年ではシャチのみ分けて飼育しています。現在は交雑を防ぐ為、雌は多種のオスとは混育生活はさせていません。

Q「イルカは人間に対して威嚇したりしますか?」
A
条件によっては有り得る様です。イルカに「嫌悪刺激」(不快な気持ち)を与えてしまった場合、口をバクバクさせたり尾ビレで水面を叩く等で意志表示します。だからと言って噛みついたり叩いたりはしません。又、イルカが急に振り向いたり、尾ビレを打った時近くに居れば人間も痛い思いをするでしょうが、これは人間の方のミスと言えるでしょう。

Q「イルカはジャンプが得意ですが、柵を飛び越えたりしませんか?」
A
「します!!」イルカ同士のケンカやパニックになったりすると、網柵を越えて隣のプールに飛んで行ったりしちゃいます。元々モノを飛び越すという概念は有りませんし、訓練したイルカでさえも「故意」に飛び越えたりはしません。ですが、朝になったら隣のプールで泳いで居た・・という時もたま〜にあります。

Q「イルカは最高でどれくらいの速度で泳げる?」
A
シャチの時速65kmが最速、続いてカマイルカの時速55kmってところです。体長30mのシロナガスクジラでも瞬間なら時速50km程で泳ぐと言われています。全種を集めて計測した訳でもありませんし、個体差も有りますけど、イザとなったらどの種類も時速50km程度で泳ぐ事が可能と考えています。普段は至ってゆっくり泳いでいる様ですね。

Q「イルカやシャチは頭が良い?」
A
陸上の動物とは生活環境に差が有りすぎる為比べる事は難しいのですが・・脳の構造や細胞の数からすると人間に近い脳細胞を持つと言われています。水族館のトレーナさんや飼育係の皆さんは犬やサルや馬などとは全く違う「気持ち」で接しているとの事。彼らは人間と同じ推測・予測をする動物ですから頭が良い反面、勘違いや失敗もするようです。

Q「イルカへの指示は何故手のサイン?笛を使う?」
A
最初に調教を始める時に「エサ」と「笛」を使います。ショーでは「手振り・ジャンプ・笛・エサ」となるのです。
これはイルカやクジラが水族館に搬入された当初から行っており、人間の意志(何をしたいか)を伝える単純なシステムで、永年水族館に住むイルカにとっても人間にとっても、解りやすい意志の疎通方法だといえましょう。
(笛は犬笛と同じ物です)

Q「白鯨って本当に居る?」
A
居ます居ます。新しいところでは1992〜93年代に「オーストラリア〜ハワイ」間で白いザトウクジラが確認されています。又、1955/1970年にはカナダバンクーバーで白い雌のシャチを捕獲し「チモ」という名前に、アメリカでは完全なアルビノのバンドウイルカ「スノーボール」という名前を付けて飼育していました。他にも全身白いマッコウも確認されてます。日本近海でも半分白い(アルビノ)カマイルカが目撃されてましたが一部の皮膚がピンク色をしていました。
一般には赤目の白色がアルビノ、黒目で白いものは白化と分けているようです。「白鯨」の定義は無いと思いますが、個人的にはベルーガも前述の白いシャチ(少し色有)どちらも白鯨で良いと思います。
 全身漆黒というクジラ・イルカは個人的には確認していません。詳しく調べていませんがイルカ・クジラは「白、若しくは灰色の模様」を持っており、白化する要素も多分に有るものと考えられます。特にザトウクジラに関しては胸ビレが真っ白であ有ったり裏側だけ白かったりと生息域により体色に様々なバリエーションが見られます。
※ベルーガ(シロクジラ)は、漢字では白鯨になるのだが・・。
Q「どうやって芸を教えるの?」
A
最初に水族館に搬入されて来たイルカは餌と笛の音の「条件付」を教えます。さらに「人の接触」に発展させてから道具などに少しずつ慣らして芸を教えるのです。イルカやシャチの癖やイタズラなどを強化して芸にする事も有ります。又、ショーのエキスパートイルカをみて芸(条件付)を学ぶイルカもいます。


Q「イルカやクジラにとって水族館の狭いプールや死んだ魚の食事、芸をさせられるなど可哀想だと思うのですが。」
A
難しい質問ですね。長くなりますよ?
結論から答えると「可哀想と思える部分も有り、別の意味では楽な所も有ります」。
そもそも「自由」という定義は人間的主観ですから、彼らイルカの野生状態が人間の云う「自由」とは根本的に異なるのです。
大海に住む野生のイルカやクジラ達は日々食物の補食に明け暮れ、その中で外的から身を守り更には群社会や子育て等も含まれており、自然という「弱肉強食」の食物連鎖の中で「死なない努力」をしているのです。野生での「遊ぶ」というのも「生きる」という事に直接つながっています。彼らにとっての自由とは「全てが生き延びる為の努力」と云った方が良いでしょうか。対して水族館のプールというと・・・「プールは狭い」「毎日死んだ魚を食べる」「芸をさせられる」「仲間が少ない」等、何やら人間からするとイルカ達を虐めている様に聞こえますね?簡単なモノからひとつひとつ答えてみましょう。
●「毎日死んだ魚を食べる」・・・肉食動物が生きる為には別の生き物を糧として行かなければならない訳ですが、何も餌生物が生きていなければならない理由は有りません。栄養として確実に摂取出来ればそれで良いのです。体に害が無ければ新鮮さ等関係ないでしょう。
補食行動が無くてつまらない?いえいえ、野生の生き物は「出来る事なら楽をして多くの餌を捕りたい」のが本能。結構貪欲ですよ。
●「芸をさせられる」・・・強制させているのでは無くイルカ任意の行動です。やりたくなければイルカは芸などしないでしょうね。ですが「彼らは自らのストレスを解消しようと、我々人間を受け入れ、歩み寄り、信頼関係を持とうとする動物」つまり、野生での群に相当する行動を行います。これも高等生物の持つ生きる為に必要な技と言えましょう。
又、芸を行うイルカの中では「頑張ったのだからもっと餌をくれ〜」と意思表示する個体も居ますが、芸を教えなくても自ら芸を行う個体も少なくはなく、もちろん報酬(餌)は考えていません。
その教える芸ですが、彼らの本能や癖を利用していますから辛いという事はないでしょう。
「人間を背中に乗せる」のは彼らの社会の介護行動。「陸に乗り上げる」のは遊びとして行う個体も多い事から短時間なら問題ないでしょう。
●「仲間が少ない」・・・これは重要な問題です。イルカやクジラの多くは「群」という「生きる為の社会」を持っています。群として生活する事で初めて「イルカ/クジラという名前」を持つ・・と言っても過言ではないでしょう。これは「採食/休息/交配/出産/育児/防衛」等彼らの生活全て群が有って初めて成せる事柄なのです。水族館では1頭で飼育はしていない筈です、多種との混成も彼らには余り問題なさそうですね。人間を仲間として意識しているくらいですから「頭数」は問題ないと思います。余談ですが夜の水族館で守衛さんや見回りの方を見つけると「キューキュー」甘えてくるそうです。とても寂しがり屋なんですね。

●「プールは狭い」・・・一番の問題でしょうか。水族館のプールは海に比べると遥かに狭いですね。おさらいしてみましょう。
イルカ・クジラは泳ぐ・・
何故泳ぐ?答え:イチバン大切なのは「補食と防衛」
何故広い海を回遊する?答え:イチバン大切なのは「補食と防衛」
狭いプールではエコロケーションが反響して大変・・
何故ロケーションを行う?イチバン大切なのは「補食と防衛」
生死を賭けた補食行動も防衛も水族館には有りませんよね?確かに高速で泳ぐ感覚や、深い海に潜った時の水圧などの刺激は水族館のプールでは考えられない事。ですが、本来野生動物で有るが故の本能には影響ないのでは・・と考えています。
とはいえ、彼ら野生生物には「自然な姿」の方が精神的・肉体的に負担は少ない・・というのは道理でしょう。環境が全く異なるのですから。
従って、彼らは「人工的な環境における負担」と「生きる為(補食と防衛)の最低条件の解決」という相反する二つの事柄を抱えながら水族館で生活してると言えるでしょう。
「水族館のプールは狭い」・・・この問題は人間の考え方で答えを出すのは不適格なのかもしれません。結果として彼らは生きる為に「妥協や受容」という人間的な事を行わなければならないでしょう。彼らイルカやくじらにとっての水族館生活・・・私は大丈夫だと思っています。なぜなら彼らイルカやクジラは人間が考える以上に知的な生き物、そして彼らの命を大切に思っている水族館スタッフが最善の努力をしているのですから。
★ここでもう一つ。
水族館のイルカと私たち人間比べてみると・・・似てます。そうでしょ?日々時間に拘束され仕事をし褒美を貰う。休日が有ると言ってもそれはストレスを解消する為の僅かな時間。
海外旅行?狭い飛行機で空を飛んで・・別に人間も自由とは言えないでしょう?
人間の世界も悪い事ばかりですが、それでも「良い」とも思える節は多分に有りますよね?我々人間も大変ですが、こんな不思議な社会でも上手く付き合えば楽しい事も有るでしょうし、苦労もひとつの生活のアクセントとして受入れもできます。イルカやクジラに人間と同じ様な生活をさせたい訳では有りませんが、きっと水族館のイルカ達の神経も人間と同じ様な事を感じているのではないでしょうか。
最後に、私自身…人間の主観で、棲む世界の全く異なる生物の気持ちを決定着ける事は不適切だと思っています。

注)この質問に関してはWEB制作者の個人的考察によるもので、水族館等の解答ではありません。

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