宮城県警察嘱託犬審査会     全日本警察嘱託犬競技会


下のイラストは公益社団法人日本警察犬協会発行の会報表紙の
一部です。協会認定の7犬種が描いてありますが、左から順に
ラブラドール・リトリーバーゴールデン・リトリーバー、ドーベルマン、
そして真ん中がシェパード、エアデール・テリア、ボクサーそして
コリーです。



日本全国で約1100頭くらいの警察犬がいると思われますが
上記7犬種以外の警察犬も若干おります。しかし、ほとんどが
シェパード犬を目にするのではないでしょうか。

マスコミ等で活躍する警察犬を見た方もたくさんいると思います。

良く聞かれるのですが「警察犬は警察が所有しているのですか?」と。
いいえ、ごく一部をのぞいて(例えば警視庁や各県警の警察直轄犬)
ほとんどの警察犬は一般民間人が所有者なのです。

各県警によって違いが有りますが、年1〜2回の嘱託警察犬の審査
会などによって、合格した犬が晴れて警察犬として認定されるのです。

警察犬を育成・訓練するには、最低でも1年以上のトレーニングが必要
になり、その費用はひとえにオーナーの

警察犬を通じて社会の治安維持に貢献する

というボランティア精神に頼っているのが現状なのです。

盲導犬や救助犬もそうですが、役立つ警察犬を一頭育成するにも
大変な時間と費用がかかることが理解できると思います。


ここで私の住んでいる宮城県の現況について紹介します。警察犬は
警察本部刑事部鑑識課で統括しており、鼻の捜査官として1999年
度は35頭の警察犬が指定を受けました。宮城県は嘱託警察犬制度
が発足してから、平成12年度で44回目を迎えました。

宮城県は日本全国でも屈指の警察犬先進県と言われております。
なぜなら、ヘリコプターによる警察犬降下訓練や、舗装路捜索犬の
導入、冬山遭難救助訓練、アンプル液による死体臭識別訓練、
永久名誉警察犬制度などが全国に先駆けて実施されました。


下の画像は、雪崩を想定して実際に模擬遭難者を埋め、警察犬の
嗅覚によって生き埋め地点を特定し、救助隊員が掘り起こしている
場面です。

模擬遭難者のお話によると、雪の重みで身体が圧迫され脱出できず、
唯一直径約2cmの塩ビ製パイプによってのみ呼吸を維持しているとの
ことで、救助訓練とはいえ不安にかられるとの体験談をお聞きしました。
以上の観点から、早期救助の必要性が改めて認識されました。


また、氷点下の外に雪洞を堀り、一晩ビバークしたことも有ります。
警察犬の身体や被毛に、無数の氷の結晶が出来てしまいました。
現場を想定した訓練の必要性は、言うまでもありません。



下の写真は地上約40メートルからの、警察犬・指導士を一本の
ワイヤーロープとホイストで同時降下している場面です。
ヘリの爆音と風圧は相当なものなので、馴致訓練も入念に行わ
れます。

馴れた警察犬でも空中に送り出される時は、爪を立ててイヤイヤ
をしますが、指導士と一緒なので安心感もあるのでしょう、後は
落ち着いております。



なぜこの様な危険な人犬同時降下訓練が必要なのか。
それはヘリポートない山岳で、人間の足では時間に余裕の無い時や、
離島小島への出動で船舶では時間がかかりすぎるときなどに備えて
訓練を実施しています。





次に宮城県の警察犬の種類の紹介です。
足跡追及犬、選別犬、警戒犬、特別犬の4種目にわかれています。
さらに名誉犬制度も有ります。

足跡追及犬とは、主に足跡の臭いをかいで捜索する警察犬です。
草、土、砂利などで、犯人の足跡臭などを追いかけるのですが、
宮城の場合1〜2年生の犬の登竜門となっています。これで力を
付けた警察犬は、やがて特別犬の部へ移行していきます。

選別犬とは、5個の臭気をつけた白布の中から原臭と同じ物品を
誘惑臭の中から選別させる警察犬のことです。(ゼロ回答犬を含む)

警戒犬とは、山岳遭難、行方不明者の地域捜索、警衛・警備などで
パトロールや犯人襲撃・捕捉などを行う警察犬で、全国的に見ても
これを採用している都道府県はあまり多くありません。

特別犬とは、舗装路専門の捜索をする警察犬です。
事件出動の出番が最も多く、困難がつきまとい、神経を集中して
慎重・綿密におこなわれます。平成12年度は7頭が指定されました。

名誉犬とは、通算5回警察犬指定を受けた犬に与えられます。
毎年の警察犬テストを免除され、一生涯、警察犬として活動できる
名誉な犬達です。毎年3〜5頭ぐらいの警察犬が、後輩達に道を
譲ります。名誉犬になるには、最低でも7歳にならないと栄誉が
受けられないのです。


下は98年に江沢民・中国国家主席が来仙したときの警衛・警備に
出動した警察犬たちと仙台駅周辺と仙台空港の警備の様子です。














宮城県は2001年の国民体育大会、2002年のワールドカップサッカーの
イベントを控えており、それに備えたテロ防止や爆発物捜査犬(爆捜犬)の訓練
にも力を入れて実地しております。




時々マスコミ等で、警察犬をご覧になった方もおると思いますが、
夜間の出動が多く(私の場合、午前1時〜5時が8割を占める)、
小さい子供さんに出合う機会が少ないのです。

それで警察犬の理解・認識やPRをかねて、各種イベントや小学校
などでの実演・ふれあいなどを、また県内各地での出動要請に迅速
に対応出来るよう、8月の真夏時期にも夏期特別訓練も行っています。

下は犯罪現場を想定した捜索訓練と死体臭認識訓練で塩ビパイプの
中にはアンプル液をしみ込ませた白布が入っています。



今後も、全国の活躍する警察犬に出合ったなら激励の言葉ををかけ
てあげて下さる様お願いします。












宮城の警察犬指定審査会はこちら  をご覧下さい。


photo by police .pref.miyagi