ホタル・飼育・手賀沼・釣り
手賀沼浄化
我が家の娘は、毎年夏休みに手賀沼に関わることを題材にして実験・観察を行っています。その一部を紹介します。

手賀沼の水をきれいにしよう!(平成15年8月)

 これまでの夏休みの自由研究から手賀沼の水やヘドロには養分がたくさん含まれていて、水草やモロヘイヤなどの野菜が良く育つことが分かった。しかし、この養分が手賀沼の汚れの原因になっている。水質検査の結果、場所によってCODやリン濃度の値は違うが、かなり汚れていると思った。
  いろいろな水質改善活動の成果が少しずつ現れていて、手賀沼は日本一汚い沼から 一歩前進した。特に、利根川の水を手賀沼に流し込む北千葉浄水場の成果は大きいと思う。しかし、こんなことをしなくても飼育用の水槽の水のように自然界には、汚れをきれいにする力があるはず。手賀沼の湖畔にあるビオトープ(右写真)も自然の浄化能力を利用して沼の水をきれいにしようという目的があるようだ。
  今年は、この自然界の水質浄化能力について調べたいと思う。


               
1 研究の目的
手賀沼の水が泥や砂利できれいになるかを調べる。
2 研究の方法
  (1)準備   
     水槽(4個)
     手賀沼の水  手賀沼の泥      砂利
     クレソン  エアーポンプセット
     パックテスト(COD)
(2)方法
@ 水の量を常に一定にするために、ビニールテープで、印をつける。
A 二つの水槽に手賀沼の泥を入れる。

B 泥を入れた水槽の一つにクレソンを植える。











C 一つの水槽に魚飼育用の砂利を入れる。
D 何も入れない水槽を一つ用意する。準備した四つの水槽に手賀沼の水をビニールテープの印のところまで入れる。
E エアーポンプのホースを四つの水槽につなぐ。
ゴミが入らないようにふたをする。
F パックテストでCODを調べる。水の濁りも確認する。
     
   
        
        [パックテストの使い方]
  1. ポリエチレンのパックの糸を抜き穴を開ける
  2. 指で押さえて中の空気を出す。
  3. パックの穴を開けた部分を試料水につけ、水をパックの中に吸い上げる。
  4. 定められた時間になったら変色表と照らし合わせて濃度を記録する。
3 予想
  泥や砂利が入ったのもは、飼育用の水槽のように、微生物のはたらきによってきれ いになると思う。特にクレソンを植えたものは、ビオトープのようになっているので一番きれいになると思う。
 水だけのものは、初めの状態からあまり変化しないと思う。
4 結果
  8月13日(水)
 A 手賀沼の泥が入ったもの
    
・COD   13〜20r/L
    ・水は大変濁っている。
             
 B 手賀沼の泥とクレソンが入ったもの
   
・COD   13〜20r/L
    ・水は大変濁っている。
 C 砂利が入っているもの
      
・COD   13〜20r/L 
    ・水は濁っているが他よりきれい。
 
  
 
  D 水だけのもの
   ・COD
   13〜20r/L 
   ・水は濁っているが
    A(泥)、B(泥+クレソン)
    よりきれい。
(14日〜27日:省略)
 8月28日(木) 
 A 手賀沼の泥
 
   ・COD 10r/L
   ・水槽の内側が汚れてきたが、
   上から見ると水はきれいに
   透き通っている。
   ミジンコがたくさんいる。
                                    
  B 手賀沼の泥とクレソン
 
  ・COD 13〜20r/L
  ・これも水槽の内側が汚れてきたが、
  上から見ると水はきれいに透き通っている。
  ミジンコがたくさんいる。
  
  C 砂利
     
  ・COD  6〜8r/L
 
  ・水槽の内側もあまり汚れていない。
   水も透き通っている。
 
  D 水のみ
 
   ・COD 13〜20r/L
    ・8月15日から大きな変化は無い。
     汚れが底に沈んでいる。
    水槽の内側は少し汚れてきた。
結果のまとめ
     CODの変化(mg/l)
  8月13日 8月28日
手賀沼の泥 13〜20 10
手賀沼の泥+クレソン 13〜20 13〜20
魚飼育水槽用の砂利 13〜20 6〜8
水だけ 13〜20 13〜20
6 考察・まとめ
  1. 手賀沼の泥を入れたものは、少しだけCODの値が下がり、きれいになったこ   とがわかった。しかし、予想よりきれいになったとは言えない。
        理由・手賀沼の泥の中には、汚れの原因となるものがたくさん入っているから、
           それが水の中に入ってしまいなかなかきれいにならないと思う。
  2. 泥にクレソンを植えたものは予想通りにはならず、CODの値は常に高く、き   れいにならなかったことがわかった。
        理由・クレソンなどの葉が腐って汚れの原因になっているのかもしれない。
  3. 魚飼育用水槽用の砂利を入れたものはCODの値が一番低くなった。砂利の中 に発生した微生物の働きによって汚れの原因の物質が分解したことが分かった。
  4. 水だけのものは、目に見える汚れは下に沈んでいるが水の中にも汚れがたくさんあり、分解されずにそのまま残っていたものと思われる。
  5. エアレーションによって水がかくはんされ、底にたまっている汚れが水の中にたくさん浮遊してしまうことも考えられるので、エアーポンプを止めて2日間放置してCODを調べたら次のようになった。
A 手賀沼の泥
  COD 6〜8r/L
   
    B 手賀沼の水とクレソン
        COD 8以上r/
        
     C 砂利
            
   砂利の水槽には備長炭も入れてみた。      
    COD 2〜4r/L
  
    D 水のみ
         COD 8以上r/L
       
   
  6.水はそっとしておいた方がきれいになった。
    また備長炭の浄化能力は大変優れているものと思われる。

 今回の研究は微生物による水質浄化について調べたが、手賀沼の水や泥の中にはすでにたくさんの汚染物質が入っていて、そのままではなかなかきれいにならないことが分かり、手賀沼の水質浄化は簡単にはできないと思う。別の砂利を使ったり木炭を使うなどの特別な方法を取り入れなければなかなかきれいにならない。やはり自分達が気をつけて、汚さない努力をすることが大事だと感じた。
 パックテストは温度や時間、浮遊物などの影響を受けやすくて測定するのが大変であった。しかし、この研究から手賀沼の水質浄化の難しさが分かり、やってよかった。来年は、水をもっときれいにする方法について詳しく調べてみたい

7 参考文献
  「だれでもできるパックテストで環境調べ」
                       岡内 完治 著  合同出版