ホタル・飼育・手賀沼・釣り
ヘドロで栽培
 我が家の娘は、毎年夏休みに手賀沼に関わることを題材にして実験・観察を行っています。その一部を紹介します。
「手賀沼のヘドロの力」(平成13年7月〜8月)
1 研究の動機
 5月にハクチョウの親子を見に行ったら、ハスの小さな葉がたくさんあった。そのときハクチョウの親子はその間を仲良く泳いでいた。6月に再び見に行くと、葉が大きくなっていてハクチョウが泳ぐすき間もなかった。
 こんなにはやく大きくなるのを見て、手賀沼のヘドロにその秘密があると思い、ヘドロを使って植物を育ててみることにした。
2 目的
 手賀沼のヘドロと他の土を使って植物を栽培し、育ち方の違いを調べる。
3 準備・方法
準備:モロヘイヤ9本 ヘドロ 畑の土 赤玉土 
 @ 大堀川河口付近でヘドロを採取する。

 手賀沼公園、沼南町鷲野谷付近等へ行ってヘドロを採ろうと思ったが、底が砂地のところが多かった。手賀沼に流れ込む川の河口ならヘドロがあると思い、北柏の大堀川河口へ行った。ここでヘドロを採取。
 A 畑で土を採取する。赤玉土を購入する。
 
 (祖父母が趣味で野菜の栽培を行っている。その畑の土を使用することにした。また、対照実験用として養分が少なそうな赤玉土も使用。)
 
B ヘドロ、畑の土、購入した赤玉土をプランターに入れる。
 左から、ヘドロ、畑の土、赤玉土。ヘドロは一度乾燥させてから手で細かく砕いてから使用。
 
 C 同じ位の大きさのモロヘイヤを3本ずつ植える。
 D 日陰に置き、実験スタート。
 E 3つのプランターのモロヘイヤの育ち方を比べ
  る。
4 予想
 モロヘイヤは、手賀沼のヘドロでも畑の土で育てるのと同じようにどんどん育つと思う。

5 結果
@ 平成13年7月30日
 同じ位の大きさのモロヘイヤを3本ずつ植える。
(大きさは30cmくらい。)
 初めから直射日光に当てると枯れてしまうかもしれないので、日陰に置く、
A 平成13年8月8日
 日向に移動する。手賀沼のヘドロに植えたものは、葉の緑色が濃くなって来た。葉も大きくなっている。高さは3つのプランターに大きな違いはない。(35cm前後)
B 8月15日
 ヘドロの土と畑の土のモロヘイヤは、赤玉土のものより大きくなっている。ヘドロに植えたのもは、下の方の葉も大きくなり、高さだけでなく横にも広がっていることがわかる。

   〔高さ〕
  ヘドロ :47〜50cm
  畑の土:48〜50cm
  赤玉土:45〜47cm
 C 8月20日
 ヘドロで育てたものは、新しい葉もたくさん出て、全体の葉が大きく育つ。

   〔高さ紗〕
  ヘドロ :52〜54cm
  畑の土:53〜54cm
  赤玉土:50〜52cm
D 8月24日
 赤玉土のモロヘイヤも伸びているが、3本とも細い。葉も小さいままである。
 ヘドロで育てたものは、大きくて倒れそうになる。
 
    〔高さ紗〕
  ヘドロ :58〜60cm
  畑の土:59〜60cm
  赤玉土:57〜59cm
  6 考察・まとめ・感想
  1.  モロヘイヤの茎の伸びに大きな差はなかったが、葉の育ち方はヘドロに植えたのもが一番大きく、他との違いがはっきりとあらわれた。手賀沼のヘドロには、祖父の畑の土よりもたくさんの養分が入っていることがわかった。予想以上の結果である。
  2.  モロヘイヤは手賀沼の水だけで育てたものと比べると、ヘドロで育てたものの方が大きく育った。                             
  3.  手賀沼には、たくさんの生活廃水が流れ込み、リンや窒素がたくさん入っているということをよく聞くが、これらが植物に大きな影響を与えていることがわかった。養分が植物を育てるのに役立つように感じるが、アオコ発生などの原因にもなるので、この実験を通して、これまで以上に沼を汚さない努力をしようと思った。
  4.  リンや窒素は肥料にも入っているため、沼のヘドロや水を肥料としてうまく利用できるとよい。手賀沼の汚れの原因のほとんどが生活廃水であるため、人体に有害な物質が植物に入り込むことは少ないと思うが、これについてもっと詳しく知りたい。 
    リンのはたらき  花を咲かせたり、実をつくるのに役立つ。リンが少ないと、花が減り、根が出にくくなる。また、葉が黒みがかり、実ができるのが遅れる。
    窒素はたらき  葉、茎、根の成長に役立つ。窒素が少ないと、成長が悪くなる。また、多すぎると伸びすぎ、軟弱な植物になる。
         参考資料:タケダ園芸株式会社HP(肥料に関するQ&A)